事件簿:file NO.001

2008年7月13日(日)

第1信:事件発生

惨劇が起きた。ホシは確保されたものの、取り調べは難航、動機も不明。

これが衝撃の現場写真である。


第2信:動機の解明

捜査本部は家族からの証言を得た「朝も夜も庭で用は足していたので、なぜ三発もかましたのかわからない」とのこと。しかしながら、この10日程、毎日、ほぼ朝と晩に散歩に行っていたのが、昨日は散歩なしだったとの証言もある。しかも昨日夕方より従姉妹の男性M氏を誘い、長戸町庭にて焼き肉を行っていたとのこと。その際、犯人も庭へ呼ばれたにもかかわらず、屋内にとどまりいじいじしていた模様。

捜査本部は、犯人が散歩に行けなかった腹いせに犯行に及んだものとみている。犯行推定時刻は13日午前6時から7時。さらに、12日夕飯後の午後9時頃に庭でセミの脱皮する前のもの(地上に出てきた状態)を犯人が食べていたのを目撃されている。日頃食べないモノを食べたことにより、胃腸が刺激され、「三発」に繋がったとの見方を強めている。

第3信:現状

第一発見者によると、13日朝8時頃、犯人は犯行現場をなにくわぬ顔(いつもの!)で徘徊していたという。すぐに身柄を確保され、ベランダに軟禁。ハッハッハを繰り返し(暑いのか?一応、影も水もある、単に興奮気味、いや出されていることが気に入らないのだろう)、クーとかキューとか声を漏らしつつ、時折網戸にガリガリと手をかけ、反省の様子はなし。

現在(午前10時)はやっと諦めたか、ぼんやりと伏せている。その顔つきが哀れを誘い、家人はそれに惑わされぬよう心を鬼にしているとのこと。

第4信:処分

幸い被害は床のみでふき取り作業は完了、異臭は玄関ドアを開け放すこととリセッシュによりなんとか。あとは敷きもの一枚の洗濯。しかし現場処理班の報告によれば写真ではわかりにくいのだが、現場写真右下の個体は液体と一体となっており、床板の目に入り込んだブツの除去作業は困難を極め、爪が痛くなったとか。

罰として、朝食抜きか!?同情の余地はあり?なし?このまま弁護人が現れなければ、刑が確定する模様。

なお、今回の犯人は長戸町テロリスト第一号に指定された。

第5信:処分確定とその執行

その後、弁護人の立候補(半田のとある人物より)が有り「犯人の年齢を考慮し情状酌量を」との声があったが、エモリ判事は一人ではダメだと。そうだ、彼女は初犯ではないしと、J捜査官の意向も働き。

かくて朝食は抜き12時までベランダ軟禁と処分決定、すみやかに執行された。本格的に暑くなる前、12時過ぎ、室内に移動。そして恩情により早めのおやつをもらうことに。しかしここからが・・・・!

エモリ判事みずから、煮干しを手渡しすると・・・彼女は一旦は口にくわえるものの、ポトリと落とす。また別の煮干しをやるとまたポトリ。これはいったいどういうことか!?暑さに参って食べることも出来ないというポーズなのか!?いじけたのか!?

一瞬頭に混乱をきたしつつもエモリ判事が試しに「おすわり」と言うと、意外にも素直に座るではないか。次に「お手」というとこれまたすんなりお手をし、そうした後に煮干しを食べたのであった。

こ、こ、これは、なんなのだ!? 反省したと見るべきなのか? これが彼女なりの自供か?

経過

J捜査官は処罰の決定したあと、その執行をエモリ判事に託し、一旦現場から引き上げ、別件の捜査に出ていた。

午後4時過ぎ、J捜査官が戻ると、犯人ぴとは室内でぐったりとしている。J捜査官の顔を見るなり、激しくハーッハーッハーを始める。確かに暑い。J捜査官が室内の温度計を見ると、なんと35度だ。(エモリ判事は上半身裸のいつものスタイルでMacに向かっている。)

な、なんということを・・・。「自分は脱げばよいが、ぴとは毛皮が脱げない!くわえて空腹なのに、35度なんてひどい。いくら犯人とは言え、犯人にも人権いや犬権がある。これはもう虐待だ〜」と、J捜査官は叫ぶと同時にクーラーのスイッチを手にした。南の戸を閉め、涼しい空気が室内に充満し始めると、犯人も少し落ち着きを取り戻した顔つきになり、より心地の良い場所を求めて動き始めたのであった。

まったくエモリ判事にも困ったものだ!しかも、念のためにおやつはどのくらい与えたのかと聞くと、いつもの半分くらいと。だからまたあげてもいいよと言う。

何を言っているのだ!そんなに何回もおやつをもらったのでは、結局彼女にとって都合のよいことになってしまうではないか!処分の意味が一番分かっていないのは、他ならぬエモリ判事自身ではないか???

第6信:終止符

平和に過ぎるはずであった日曜の朝、突然起きた惨劇も幕を閉じようとしている。犯人は今夜9時過ぎ、夕食をもらった後、散歩に出た。最近ではくんくんに終始しまくり、なかなか前へ進まない散歩だが、今夜はエモリ判事も一緒だったのでなんとかスタスタ歩いていた。今後も監視は続けるべきとの捜査本部の見解である。

シルビア捜査官にとって、今回の事件は一件平穏に見える家庭にもテロリストがひそんでいることの恐ろしさを認識させられたかたちとなった。そうしてそれらの犯罪を未然に防ぐことこそ(たとえそれが一不満分子の爆発的な行為であっても)本来我々の任務ではないか?、しかしながらその難しさをも痛感するのであった。

心優しいシルビア捜査官はテロリストPに愛の手をさしのべ、雑巾で顔や首筋をぐりぐりと拭きまくってやるのだった。すると、今朝の犯行はまるでなかったかのように、Pは甘えた顔つきになりすり寄ってくるのであった。


これは事件発生の数日前、偶然にも撮えられた犯人の写真である。
テロを起こすようなモノにはとても見えない。

・・・つづく

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