犯人の素性-その1

生まれ

1993年8月3日 静岡県浜北市に生まれる、本名を喜久姫という。意外にも彼女は血統書付きの正真正銘の柴なのである。

柴犬は秋田犬、土佐犬などとならび、日本の天然記念物ということになっている。たしかに、この犯人も、予測不可能な動きや頭の中身、不敵な犯行を重ねる様は他では見る事できない、記念物級というところであろうか。

幼少期

とあるペットショップから売られた先が、知多半島は半田、富貴というのんびりした村の一家族の家。そこで家族とともに数年間(おそらく5年ほど)を過ごす。

現在の呼び名「ぴと」は、当時その家の坊やがつけたものである。坊やの傍らに寄り添ってくる様が、「ぴとっとくっついて来る」ということで、その名になった。しかし、今では犯人自ら人にぴとっとくっついてくる事はまずない。

海の近いその村では、田んぼも多く、あぜ道や舗装されていない小道を、車の往来を気にする事なく、気ままに散歩していたと思われる。その家族中では、主婦が大変な動物好きで、猫数匹とともにかわいがられ、穏やかに暮らしていたであろう。

引っ越し

しかし、平穏な暮らしとはなかなか続かないものである。ぴとの場合も例外ではない。一緒に暮らしていた家族の都合により、引っ越しすることになったのだが、それは、ただの引っ越しではない。家族の引っ越し先へはぴとは一緒に行かれないのだ。

ぴとだけが名古屋へもらわれることになった。慣れ親しんだ家族や風景と別れをつげ、一人新しい住処に移ってきたぴとの心境はいかなるものであったろう。その名古屋の家は、富貴とは何もかもが違っていたことだろう。外へ出れば、今まで彼女が見た事もない量の車が走っている、田んぼやあぜ道はない。

ぴとは運命を受けいれるしかない。新しい家族と、当時そこに住んでいた猫や猿とともに、そこで暮らしていくしかないのだ。と、彼女が思ったかどうかは分からないが。

果たしてぴとは名古屋での暮らしに馴染めるのか?

・・・つづく

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